二輪舎ブログ 走れ二輪舎

2011年05月07日

家具を造ることは、生活の記憶を造ることです。

火鉢と茶ぶ台と文机
    2000,11

現場仕事をやりながら、ゆっくり造っていた長火鉢がようやくできあがります。
 長火鉢のデザインを考えているときも、工房で造っているときも、何かぼんや
りと記憶がよみがえってきました。茶ぶ台と文机の形を考えていたときも、何か
うっすらと浮かんできました。長い間忘れていた生活の記憶を少しだけ思い出
しました。子供の時の家で使っていた、火鉢と茶ぶ台と文机の事を思い出しま
した。
 
 文机は、当時製材所の工員をしていた父の手作りです。今で言う日曜大工
でこつこつと時間をかけて造っていたように思います。普通の学習机で勉強し
た覚えがありません。いつも、たしか檜の文机の前に座っていたような気がしま
す。小刀でえんぴつを削らずに机を、いつも傷つけていました。
  
 五右衛門風呂の(おきり)を、炭壺で炭にして火鉢で暖をとっていました。そ
の父の造った、タブの木の火鉢も、重すぎて壊れてしまって燃やしてしまいま
した。今造っている、楠の木の長火鉢の中に、何か記憶の形が入っていそう
な気がします。
  
 杉の木で造られた丸い茶ぶ台で、いつも食事をしていました。酒を飲み過ぎ
た父が、茶ぶ台をひっくりかえすのをよく覚えています。そんな火鉢も茶ぶ台も
電気こたつがきて押し入れの中に入れられ、いつか捨てられてしまいました。
 ギヤラリーに、柿渋を塗って造った、杉の木の茶ぶ台があります。おやじが造
って残した、記憶の中の茶ぶ台に重ねて見えてきます。
 
        家具を造ることは、生活の記憶を造ることです。

 ずいぶん前に書いた、雑文です。
 昨日、花ふぶき一座の若菜さんと話していて、
いろんな昔の事思い出しました。
 物作り、チンドン、みんな、一緒なんだ!  
タグ :木工家具


Posted by 家具雄 at 08:00Comments(0)
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